トップページ | 2008年9月 »

2008年8月

2008年8月31日 (日)

夏の終わりの自然派カフェ

8月最後の日曜日、修善寺と大仁の中間にある「tutty cafe トゥッティカフェ」にスタッフと仲間、家族と行ってきた。

tutty cafe→  http://www.tuttycafe.com/

このお店はマクロビオティックなどのいわゆるオーガニックカフェで、自分たちの畑で採れた野菜を調理してくれるお店らしい。

Dscf1936

ここにたどり着くのが一苦労。牧之郷の駅から車で5分程度だが車が一台やっと通れる細道を上がっていくので時間が余計にかかった気がした。案内の看板がご親切に5~6個あるのが、オリエンテーリングをしている気分になる。

まるで「となりのトトロ」みたいなロケーションと中古の住宅である。

早速子どもたちは虫取りの網をもって探検にでかける。

Dscf1938

さて、マクロビオティックとはいかなるものなんだろうか?

マクロビオティック→    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9E%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%83%93%E3%82%AA%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF

英語で読むからてっきり欧米が最初と思っていたのだが、なんと日本人の料理研究家が最初に提唱したとは驚いた。しかし、調べていくと古来日本ならではの食生活がそのままマクロビオなんだと気がついた。

元来マクロビオティックとは縁遠いメタボ親父まっしぐらの自分が何故?オーガニックカフェに行ったのかは訳がある。

友人がそこのカフェの女性オーナーと結婚して、一緒に手伝うようになったからだ。彼の名前はユタカさん、とでもしておこう。年齢は自分より上の40代前半、彼とは以前自分がバイト兼勉強に行っていた大手のイタリアンレストランで知り合った。根がまじめな人で、最初は(なんでオヤジがこんな所で働いているのか?)と思ったが、ほどなくうちとけて(実際は自分もオヤジ組だった) 長野のヤッホーブリューイングによなよなリアルエールを飲みに一緒に旅をするまでになった。自分にはないものをたくさん持っていた人で、この人となら将来一緒に仕事をしたいなと思うまでになったが、いろいろ話をしていくと彼のやりたい事と自分のやりたい事が微妙に違う事も分かるようになった。それはそれぞれの環境が違うから仕方のない事で、無理して一緒にやるよりは良かったと思う。

これが「tutty cafe」のお二人である。

Dscf1962

8月に入籍したばっかりなのに、昔からここに二人で住んでるかのような雰囲気。奥さん(オーナー)の日呂実さんは日本全国をボランティアなどで放浪されていたツワモノ。マクロビオも自然な形で入り、料理も独学で勉強されたらしい。ユタカさんもバイクに乗るし彼女も乗るらしいから共通の趣味があって良いな、と思う。

初めて来たのになぜか懐かしい。長女のクウはすっかり溶け込んでしまい、畳に寝そべる。

Dscf1947_2

さて、本日のランチだ。850円なり。

Dscf1946

見た目はシンプル、質素である。これに本日のスープがついた。メタボおやじを筆頭にして男衆3人は思わず「ウッ!少な!」と思ったであろう。「ニク、肉ねぇのかよ!」とも口ごもったであろう。ごめんなさい、オーナー。これが我々メタボ系の偽らざる最初の感想でした。意を決して本日の野菜のスープを飲む。「ウッ、薄!」正真正銘の薄味である。しかも最初は味噌汁かと思って飲んだのだから尚更なのであった。おどおどしつつ、玄米ごはんを口にする。

うまい・・・!じゃん・・

全体に粘りがあり、もち米が入っているのか、非常にモチモチしている。モチモチ好きなユタカさんがハマったのも分かる気がした。モチモチの中にプチプチとした食感があり、中から旨みが湧いてくる。不思議な体験だ。つられてゴボウと車麩の味噌煮を頂く。味噌の旨みが効いていて、塩加減も我々の味覚に合う味付けなので安心できる。お麩はいつもは嫌がって食べないのだが、これがなんと豚バラの煮込みの味がするのだ!ヒジキとモロヘイヤのマリネはさっぱりとしていて、白南瓜かな?の煮物は優しい味わい。なんでもマクロ~の調理法は砂糖(精製された?)を使わないそうで、野菜本来のかすかな甘みをそのまま頂くのが良いらしいのだ。添えてあった自家製の梅干しは懐かしい味がした。

食後にはそれぞれオーガニックスイーツや、穀物珈琲などを頂いてゆったりする。

Dscf1955

ここでスタッフの荒井が「マスター、マクロビオって何?」と今更ながらに質問するので、「俺は神様じゃね~、オーナーに訊け訊け、聞くは一時の恥って言うだろ!」と一蹴。オーナーに聞いてみた。日呂実さん曰く、「そこの土地で採れたものをそのままの形で頂く」のがマクロビオの基本だそうだ。う~ん、それなら自分も出来そうだぞ、今でもやってるし。要はあまり気張らないで自然の力を借りて作るのがマクロビオティックな生活なんだろうな。

普段店ではどちらかと言うとご馳走感のある料理を作ってる自分としては、ここの料理はある意味物足りなく、ある意味目からウロコ状態だった。

自分とユタカさん、そして現在スタッフとして手伝ってもらってる大石さんの三人は前述のイタリアンレストランで一緒だった訳だが、その店のあまりにもの忙しさと、利益を追求しすぎて料理の質やスタッフ同士の信頼関係をおざなりにする経営者側の考えに反旗をひるがえした。通常の世界では利益を追求するのが当たり前だし、正当だ。自分も経営者の一人だから分かる部分は大いにある。ただ、最近の流れとして、そういった主流から大きく外れたもう一本の主流が出来つつあるような気がする。それは「自分の好きなことを、自分の出来る範囲でやる」という考えだ。

tutty cafeはオーガニックカフェの他に染物などのワークショップや、ギャラリーなどのイベントを開催している。それはオーナーの趣味が高じての自然な流れであり、無理して客寄せのためにいろいろやっている訳ではない。休日が火・水・木の3日間というのもうらやましい限りだ。自営業というと一見自由に思えるが、休めば休んだだけお金が入ってこないから、自分の親世代は本当に休みなしで働いていて、それが美徳とされている。「商いは飽きないでやるもんだ」という言葉をさんざん聞かされてきた。

ただ、「商いは飽きないでやる」には、何も飽きずに毎日働くばかりじゃないと思う。自分に合ったリズムで、体や気持をリフレッシュしながら長く続ける事が大事じゃないか?ただ、自分はもうしばらくは現在の朝から晩まで働く生活を続ける必要があるだろう。養うべき家族がいるし、店を支えてくれてるスタッフへの生活の保障や、勉強していく事がまだまだあるからだ。それにめどがついたら、自分のやりたい方向へ徐々にシフトしていきたいと思う。

無理せずに、自然な流れで暮らしていくにはどうしたら良い?

そんな事をtutty cafe は自分に問いかけてくれた場所だった。

Dscf1943

しかしその日のまかないはオーガニックフードの反動で「すき焼き」になってしまった(笑)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月19日 (火)

ビア修行 いざ東京へ

大学をなんとかかんとか卒業。親の反対を押し切っていざ東京へ。

新宿の小さい映画制作会社へ潜り込んだ。

名前は幻燈社。映画監督になりたいが為に映画人手帳を片手に必死に探した会社だった。

映画「サード」をはじめとした70~80年代のATG黄金期の中心となっていた会社だったが、自分が入社した時にはバブル崩壊の始まりの頃で、業績は落ち込み、それでも必死にスポンサーをかき集めて映画を作っていた。

今でも初めてそこを訪れた時のことは忘れられない。

大志を抱いて新宿西口からタクシーに乗り込んで「西新宿の幻燈舎まで!」と運転手につげると、

「どこですか?そこ?」

おいおい、天下の幻燈社をしらね~のか、と思ったが、住所を伝え、ともかく行ってもらう。

やがてタクシーはとあるビルの近くに止まった。「ここらがその住所ですねぇ」「あ、そうですか、小林ビルはどこですかね?」「いや分からないね、このへんじゃないですか?」

仕方なく降りて、すぐ近くの汚い雑居ビルの一階にある弁当屋に聞いてみたら、なんとそこが小林ビルだった。

ここかよ…

すでに少し後悔しつつ、重い足取りで奥に向かい、今にもぶっ壊れそうなエレベータに乗る。上にあがりつつ、今だったらまだ間に合う、家に帰ろうかと逡巡していると扉が開いた。そこはもうすでに自分が夢にみていた映画の世界だった。

あちこちにフィルム缶が無造作に置かれ、制作した映画のポスターがベタベタと貼ってあり、カチンコ(ああ!カチンコ!)がガムテープや作業箱のところにいくつも置いてあった。

その奥からなにやら怒号が聞こえてくる。すみませ~ん、と声を遠慮気味にかけても怒号は止まない。なにやら電話で相手とやりあっているようだ。

靴を脱いで中に入ると、50代の薄らハゲのメタボ親父が一人いて、受話器をガシャーンと叩きつけた。そして眼鏡の奥から眼光するどくこちらを睨みつける。すくみあがった。多分お金のことを話していたから経理担当のオヤジなんだな、大変そうなのは分かるけどこっちまで飛び火させんなよな。ノーネクタイにヨレヨレのズボンでこっちに向かってくる。

「え~っと面接にきたAと申しますが、プロデューサーの前田さんはお留守でしょうか?」

「わたしが前田です!」 http://fanto.org/kazemakase/kaze-maeda.htm

Oh my goodness!

それでもその時の前田氏の眼光にやられたのか、そのまま入社してしまった。

そこから自分の短いながらも凝縮された映画生活がスタートした。事務所で紹介された向ヶ丘遊園の月2万のアパートを拠点に、むさ苦しくもピュアな生活が始まったのだった。

前田さんには今までの自分の既成概念をあっさりとぶち壊された。映画観のみならず人生観、自分の考えたことすべてが否定され、どん底に落とされる。そのくせ給料は遅配は当たり前。16年経った今現在でも給料半年分は未払いのままだ。それどころか、アコムに自分名義で金を借りてこさせられるのは勿論の事、質屋に自分の腕時計まで預け入れしたことも度々だった。

ひもじいのと、仕事がうまくいかないのと、将来への不安を抱えながら新宿都庁を横目に涙ぐみながら帰途につく日々。その中でも頭の中はシナリオの構成を考えていたんだよな。下から上をみる反骨精神はその時に養われたにちがいない。

そんな状況下、知人から金を借りて、未払いのスタッフに金を渡す自転車操業の中で、すこしでも金が残ると、時折前田さんと近くの台湾料理屋で飲むこともあった。汚い店だったが、活気があって、料理は抜群だった。

よく頼んだのはトマトの卵炒めだった。思いのほかビールが良く合った。

当時の味を思い出しながら作ってみた。

Photo_2

材料:トマト大 2個くし型6~8切り 卵3個 サラダ油 ゴマ油 鷹の爪 ニンニクみじん 塩 胡椒 三温糖少々 中華風鳥のスープ オイスターソース しょうゆ 細ネギ 

作り方 ①サラダ油とゴマ油を合わせ、半分に割った鷹の爪1本とニンニクみじんをゆっくり炒める。②トマトを入れ、ぐずぐずにならないように注意しながら、塩コショウ、三温糖を入れ、軽く煮詰める。③溶いておいた卵を入れる直前に鳥のスープを50ccほど入れ、卵を入れてオムレツっぽく火を入れる。④オイスターソースとしょうゆを少々加え、卵をお好みの固さで仕上げる。細ネギなどを彩りよく散らす。 

その店で良く前田さんと映画論を戦わしたが 、自分のつたない映画論に前田さんはよくつきあってくれたと思う。そんな時の前田さんはニコニコしていた。「映画とはなんじゃ 人間とはなんぞや?」というまるで禅問答のような問いかけにいつも上手く答える事ができなかった。諸事情で幻燈社を去る直前に書き上げたシナリオを唯一認めてくれ、「乱暴だが、良く伝わるわな」と言ってくれた。

電話好きで、知識が豊富で、意外とモテて、怒りんぼうなくせに弱虫で、卑怯で、でも右翼と渡り合ったくらいの自分の主張を曲げないオヤジで、そして、とことん金には縁遠かった前田さん。

自分にはある意味「父親」であり、いろんな面を見せてくれた「男」だった。

それから月日が流れ、自分が結婚する6年前の2002年、報告を兼ねて幻燈社に行った。

小林ビルはすっかり新しくなっていて、汚い弁当屋もなかった。当然、幻燈社があるわけもなく、ビルの管理人に聞いたら脳梗塞かなんかで倒れたとの事。その後の消息も分からずじまいだった。

今回このブログを書くにあたっていろいろ調べてたら

前田さんがその後不慮の火事で亡くなっていたことが分かった。

シグロの松井さんが大阪で世話をしていたらしい。前田さんは松井さんにもかなりの迷惑をかけていたと思うが、本当に頭の下がる思いだ。

  ああ、お前は何をしてきたのだと、

              吹きくる風がわたしに言う。Photo

http://www.yidff.jp/2003/cat009/03c013.html

前田さん、いつか幻の名作「ゆきてかえりぬ」撮りましょうや。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2008年8月18日 (月)

熱々万歳! ビア修行

お酒の中で何が一番好きかって?

Photo_3 

やっぱりビール。

中学生の時、悪友と一緒にこっそり飲んだペンギンズバー。

松田聖子が歌うオールディーズっぽい歌に何か魅力を感じて買ってみた。

マズかった。

なんでこんなもん大人は好き好んで飲むんだろう?

ただ苦くて、泡がしゅわしゅわしてるだけじゃないか?

高校生の夏。海辺で友人と飲んだハイネケン。

まだマズカッタ。しかもぬるいし。

それでも精一杯かっこつけて飲んだ。

大学生。村さ来にてコンパ。

とにかく生中。うまい、まずいの問題じゃなくてとにかく量を飲む。

店員の態度の悪さに若干むかつきながら(今となっては店員の気持ちも分かる気がするが…)飲めや騒げやの大合唱。

そんな頃、一人の教授が連れていってくれた一軒のお店。

ガランと呼ばれる特製のビアサーバーから、

一杯のビールをゆっくりと丁寧に注ぐスタイルのお店。

泡がまるでソフトクリームのように盛り上がり、爪楊枝を刺すと泡にとどまって下に落ちていかない位の肌理の細かさ。

味は居酒屋のキンキン生中とは違って、炭酸ガスが少し抜いてあり、

まろやかな味わい。なにしろ泡までがうまい。これにはびっくりした。

こんなビールもあるのか。

でも銘柄はサッポロ樽生と書いてあるぞ。いつも飲んでるのと変わらないはずだが?

奥から店主らしき髭をたくわえたおっさんが出てきて他のお客さんと話を、というか、

ビールの事について何やらうんちくを語りだしている。

オイオイ、それっぽいな~。でもつまみもうまいし、このホウレンソウのサラダと、海老の燻製はピカイチだな。通いたいな。でも高いよな少し、この店。

でも良いよな。この雰囲気。俺は好きだな。

5年後、そのお店で修行するとはその時はみじんも考えなかった。

ビアーハウス どてかぼちゃ http://www.dotekabocha.jp/

まだまだ自分のビール修業は始まったばかりだった。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

トップページ | 2008年9月 »