義理と人情
先々月の事だが、店の近くで車をぶつけられた。久々に背筋がギョッとした。
天候の悪い、雨がぼしょぼしょ降っている夕刻で、相手は70代のオヤジさんだった。
バックから出てきて、信号待ちをしていた自分の車にぶつかってきた。自分の車はかなり凹んだ(自分もへこんだ(u_u。)が、相手は後ろにタイヤを積んでいたので、かすり傷全くなしだった。
普通に警察を呼ぼうとしたら、派出所の巡査が「車動かせますか?それなら駅前の交番まできてください」と言われ、あぜん、とした。最近はそうなってるの?
仕方なくオヤジさんに「派出所に来てください、だそうです」と言って、逃げられるかもしれない恐怖と闘いながら交番まで行った。交番では3人の巡査たちが何するでもなく、普通に居た。
だったら、来いっつーの! щ(゚Д゚щ)カモォォォン
調書を取っていると、オヤジさんが「実は…」と言いだした。なんでも対人保険は入っているのだけど、対物には入ってないんだそうだ。
えっ、今時そんなの在りかよ…
それでもオヤジさんは「自分でお金払いますから、ちゃんと直して下さい」と言った。言っちゃあ悪いが、ショボクレた服を着ていて、あんまりお金に縁のないっぽい感じだったので、「大丈夫ですか?けっこうかかると思いますけど」と念を押したが「良いです、私が責任もって弁償しますから」と言ってくれた。
公平を期すため、ディーラーに持ち込み、オヤジさんにも来てもらって見積もりを確認した。たかが凹んだ箇所を直すのに20数万円の見積もりが来ていた。それにプラス、レンタカー代がかかるのだが、そこはなんとか勉強してくれと頼んだ。
その際に「やっぱ貧乏人なら保険はきちんと入りましょうね」みたいな事をエラソーに話した。オヤジさんは潤んだような目で自分を見ていた。
三週間くらい待ってようやく車は直ってきた。さぞかしレンタカー代がかさんだと思い、心配していたが、オヤジさんは保険屋と交渉して対物に入りなおし、費用は保険で済んだとの事だった。なんかホッとした。
驚いた事はその三日後だった。
オヤジさんが店に来た。懐から紙包みを取り出し自分に渡そうとした。中身は諭吉さんが五枚入っていた。貰えない、と断った。(ホントは喉から手が出るほどだったが…)
お互い、貰えない、いや受け取ってくれのやりとりを何回かした後、オヤジさんは二枚抜き取って「これだけ有れば今月持つから」と言って、三万円置いていった。
内心、非常にありがたかった。
そして、こんな人がまだまだ世の中に居るんだ、と思った。自分がオヤジさんの立場だったらどうしただろうか…?保険屋に任せてそれっきりじゃないのか…?
高齢者の方達がどんどん肩身が狭くなっているこんな世の中なのに、却って悪い事しちゃったな~と感じた。ふと自分の祖父を思い出した。
以前ぶつけられた自衛官のオヤジには最初は「頼むから警察は呼ばないでくれ」と酒臭い息で平身低頭だったのが、後で「ウチがぶつけた傷じゃない」と白ばくれられ、相当嫌な思いをしたかと思えば、今回のような誠実な人もいる。でもそんな人の良さに付け込まれたら…とも不安にもなるのだが…。
オヤジさんのした事が稀有な出来事で、馬鹿オヤジのする事が今の常識になっちまってるんだとしたら、じっさい嫌な世の中だよな~。
とにもかくにも事故ったら自分が悪かろうが、相手が悪かろうが、警察は呼ばなきゃいかんぜよ。
だから警察はちゃんと来てくれ!щ(゚Д゚щ)カモォォォン
| 固定リンク
「最近思うこと」カテゴリの記事
- 中川ウェルキャンプの悲しみ(2014.08.05)
- 911から311へ(2011.03.17)
- 笑いながら泣きやがれ(2010.12.06)
- 装いも新たに…(2010.09.30)
- 真夏の夜の夢(2010.08.01)
この記事へのコメントは終了しました。


コメント